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Vectorworksのクラス・レイヤ設計【内装設計事務所のベストプラクティス】

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AutoCADから移行した当初、筆者が最も戸惑ったのがVectorworksのクラスとレイヤーの概念でした。AutoCADでは「レイヤー」が属性管理の主役でしたが、VWではその役割がクラスに移っています。最初の半年は違いを理解しないまま使い続け、プロジェクトが増えるにつれて図面管理が破綻しかけた経験があります。この記事では、内装設計の実務に即したクラス・レイヤの設計方法を、命名規則と設定例つきで整理します。

クラスとレイヤの役割の違い

項目 レイヤ クラス
役割 図面の種類・フロアを分ける オブジェクトの属性・種類を分ける
イメージ 「1枚の図面」に相当 「そのオブジェクトが何か」を示す
AutoCADとの対応 AutoCADの「レイアウト」に近い AutoCADの「レイヤー」に近い
属性管理 縮尺を設定できる 線の色・太さ・塗りを設定できる

一言で言えば、レイヤは「何の図面か」(平面図・天井伏図・展開図)、クラスは「何のオブジェクトか」(壁・建具・家具)を表します。AutoCAD経験者が最初に混乱するのは、この役割の逆転です。VWに移行した直後は意識的に使い分けを確認することをお勧めします。

内装設計の推奨レイヤ構成

レイヤ名 用途 縮尺
既存平面 既存図・解体図 1/50
平面図 メインの平面図 1/50
天井伏図 天井仕上・照明位置 1/50
電気設備 電源・照明・スイッチ 1/50
給排水 水道・排水 1/50
展開図 各壁面の展開図 1/30
詳細図 納まり詳細 1/10
共通 寸法・テキスト・タイトル枠

縮尺が異なる図面は必ず別レイヤに分けてください。同じレイヤに1/50と1/10の図面を混在させると、出力時に縮尺が崩れます。筆者は過去に展開図と平面図を同一レイヤに入れていて、印刷出力の際にサイズがずれるトラブルを経験しました。

推奨クラス設計と命名規則

クラスはカテゴリ別に階層化して管理します。「-」(ハイフン)で階層を区切ると、クラスパレットでツリー表示になります。内装設計でよく使うクラスの構成例は以下の通りです。

建築要素系は「壁-RC」「壁-LGS」「建具-ドア」「建具-窓」「建具-引き戸」に分類します。仕上げ系は「仕上-床」「仕上-壁」「仕上-天井」の3つが基本で、材料の種類ではなく部位で分けると図面切替が楽になります。設備・家具系は「家具-固定」「家具-可動」「設備-衛生」「設備-空調」、図面管理系は「寸法線」「テキスト-一般」「テキスト-タイトル」「ハッチング」「記号」を用意しておくと一通りの図面がカバーできます。

各クラスに線の色・太さ・塗りを設定し、オブジェクトのプロパティで「クラスの属性を使用」にチェックを入れておくのがポイントです。これにより、クラスを変更するだけで全オブジェクトの見た目が一括で切り替わります。

テンプレートファイルの作り方(5ステップ)

  1. 新規ファイルを作成する
  2. 上記のレイヤ・クラスを設定する(各クラスに属性も設定)
  3. よく使う図面枠・タイトルブロックを配置する
  4. 「ファイル」→「テンプレートとして保存」を選択
  5. Vectorworksのテンプレートフォルダに保存する

新規図面作成時に「テンプレートから作成」を選ぶと、設定済みのレイヤ・クラス構成がそのまま引き継がれます。最初のテンプレート作成に1〜2時間かかりますが、その後はプロジェクト開始のたびにゼロから設定する手間がなくなります。

チームで使う場合の運用ルール

複数名で図面を共有する場合は、テンプレートと命名規則の統一が最優先です。全員が同じテンプレートからスタートすること、クラス名の大文字・小文字や区切り文字(ハイフンかアンダースコアか)を統一すること、この2点だけで引き継ぎコストが大幅に減ります。

特に注意したいのは「クラスなし」へのオブジェクト配置です。デフォルトクラスにオブジェクトが混入すると、後から分類し直す作業が発生します。プロジェクト開始前に「VWテンプレート運用ルール」を1枚のドキュメントにまとめて共有しておくと、この問題を防げます。

まとめ

クラス・レイヤの設計を一度テンプレートとして固めておくと、新規プロジェクトのたびに同じ設定を繰り返す手間がなくなります。「VWを使い始めたばかり」という方は、まず本記事の構成をそのまま試してみて、現場で使いながら自分のワークフローに合わせて調整するのが現実的な進め方です。NAISO Labでは内装設計向けのVectorworksテンプレートや操作ガイドを順次公開しています。

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