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Vectorworks 2026 Update 4のフェージング機能が内装リノベーションを変える

Vectorworks 2026 Update4フェージング機能のアイキャッチ画像

概要

Vectorworks, Inc.は2026年3月17日、Vectorworks 2026 Update 4をリリースしました。今回のアップデートの目玉は「データドリブンフェージング(段階的施工管理)」機能の実装、Maxon Redshiftとのリアルタイムレンダリング連携強化、そして統合型カーボン分析ダッシュボードの追加です。

情報源: Vectorworks 2026 Update 4 Now Available(Vectorworks Newsroom)

注目ポイント

  • フェージングシステム:「既存・新設・解体・移動・仮設」の5つのステータスをBIMモデルに直接付与。フェーズごとの設計進捗をひとつのファイルで管理できる
  • IFCネイティブ対応:フェーズ情報をIFC標準プロパティとしてエクスポート可能。施工会社や他ツールとのデータ連携がシームレスになる
  • Maxon Redshift連携強化:ジオメトリ・照明・カメラの変更がリアルタイムでレンダリングに反映。書き出し不要でビジュアル確認が完結する
  • Linear Materialツール更新:漆喰・プラスター向けのワールドベースパラメータが追加。スケール整合性のある仕上げ表現が可能に
  • サステナビリティダッシュボード:炭素排出量・都市緑化スコア・Biodiversity Net Gainをリアルタイム表示

日本の内装実務への応用

① リノベーション現場での「3フェーズ図面」が一元管理できる

内装リノベーションの設計実務では、「既存状況図」「解体図」「新設図」の3種類を別々のレイヤーやファイルで管理することが多いです。しかし、これらを別ファイルで管理すると変更のたびに複数ファイルへの反映が必要になり、見落としやズレが生じやすくなります。

フェージングシステムでは、壁・建具・設備などのオブジェクトに「既存(Existing)」「解体(Demolished)」「新設(New)」のステータスをひとつのモデル上で付与できます。表示設定を切り替えるだけでフェーズごとの図面を生成できるため、「既存→解体→新設」の流れをひとつのVWファイルで完結させることが可能になります。

② クライアントへの「ビフォーアフター提案」が格段に楽になる

店舗改装や住宅リノベーションでは、クライアントに「今の状態」と「完成後のイメージ」を並べて見せることが非常に効果的です。今までは現状のモデルと完成形のモデルを別々に用意してレンダリングし直すか、Photoshopで合成する手間がかかっていました。

フェージング機能を使えば、同一モデル内で「Existing(現状)」と「New(完成)」を切り替えてRedshiftでレンダリングするだけで、ビフォーアフター画像が揃います。提案段階での修正にも柔軟に対応でき、プレゼン資料の作成コストを大幅に削減できます。

③ 施工会社との情報共有でトラブルを減らせる

「この壁は残すのか撤去するのか」「この建具は既存流用か新設か」——こういった確認事項は、図面のコメントやメールのやりとりで混乱が生じやすいポイントです。IFCのネイティブフェーズ対応により、VWで設定したステータス情報がそのままIFCデータとして出力されます。

施工会社がRevitやArchiCADを使っている場合でも、IFCを介してフェーズ情報を正確に伝えることができます。「図面を見て解釈してください」ではなく、データとして状態を渡せるようになり、施工段階のコミュニケーションコストが下がります。

④ Redshiftリアルタイム連携で「その場プレゼン」が実現

Maxon Redshiftとのリアルタイム連携が強化され、VWでの変更(照明位置・建材・家具レイアウトなど)が即座にレンダリング結果に反映されるようになりました。クライアントとの打ち合わせ中に照明の色温度を変えたり、壁の仕上げ材を切り替えたりした場合、書き出し待ちなしにその場で確認できます。

特に店舗設計では「もう少し明るい雰囲気で」「素材をウォールナットから白木に変えてみて」といったオーナーの要望がその場で生まれることが多く、リアルタイムでビジュアルを見せながら合意形成できることは実務上、大きなアドバンテージです。

⑤ 漆喰・プラスターの仕上げ表現が精度向上

Linear Materialツールに追加されたワールドベースパラメータは、漆喰・プラスター仕上げのスケール表現に特に有効です。従来はオブジェクトのサイズに合わせてテクスチャスケールを手動調整する必要がありましたが、ワールドベースの設定により、異なるサイズのオブジェクト間でもテクスチャが統一されたスケールで表示されます。

和室の塗り壁や土壁風の仕上げ、カフェの漆喰壁など、素材感を正確に表現したいシーンで活用できます。図面上での材料検討からレンダリングまで、整合性のあるワークフローが組みやすくなります。

まとめ

Vectorworks 2026 Update 4は、「リノベーション・多段階施工」という現代の内装設計実務のニーズに正面から応えるアップデートです。フェージング機能とIFC連携は、特に既存建物の改修案件が増えている日本市場での実用性が高い。

Redshiftのリアルタイム連携強化も、プレゼンスタイルの変化(その場で調整・即確認)に直結する機能で、VWユーザーなら今すぐアップデートを確認する価値があります。サービスセレクトまたはサブスクリプションユーザーは無償で適用可能です。


情報源: Vectorworks 2026 Update 4 Now Available(Vectorworks Newsroom, 2026-03-17)

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