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Vectorworksで天井伏図を描く——レイヤ設定から照明器具・点検口の配置まで

天井伏図は内装設計において避けて通れない図面のひとつだが、「平面図とどう違うのか」「Vectorworksでどのレイヤにどこまでを入れるか」が最初はわかりにくい。筆者が天井伏図を初めて単独で担当したとき、見る方向を誤ったまま照明配置を全部入れてしまい、印刷後に「上から見ているか、下から見ているか」でひっくり返して確認する羽目になった。この記事ではその失敗も含め、VWでの天井伏図作成フローを解説する。

天井伏図とは何か——平面図との違いと見る向き

平面図は床から約1〜1.2mの高さで水平に切断した断面を「上から見た」図面だ。一方、天井伏図は天井面を「下から見上げた」図面と定義されることが多い。

ただし実務上は「上から透視して天井を見た図」(見下ろし型)として描くことも多く、どちらの解釈かを事前に確認しておかないと照明の左右関係や扉の開き方向が逆転してしまう。建築業界では見上げ型が多いが、インテリア設計・内装業界では見下ろし型で描くケースも珍しくない。チームで作業する場合は統一ルールを最初に決めることが重要だ。

VWでの作成方法——平面図を流用するか、専用レイヤを作るか

VectorworksでRCPを作成する方法は主に2パターンある。

パターン1:平面図レイヤを流用する

平面図で使っているWallオブジェクトや柱・梁を参照しながら、天井情報(照明・点検口・ハッチング)を同一デザインレイヤ上の別クラスに入れる方法。シンプルで始めやすいが、平面図と天井図を別々に印刷するときにクラスの表示・非表示切り替えが煩雑になる。小規模な案件や、天井図の情報が少ない場合に向く。

パターン2:天井専用レイヤを作る

「天井伏図」専用のデザインレイヤを作り、そこに天井関連の情報をすべて集める方法。シートレイヤのビューポートで「天井伏図レイヤ + 壁レイヤ」を組み合わせて出力する。管理が整理され、大規模案件や複数人での図面分担に向く。筆者はこちらを標準フローにしている。

どちらの方法でも、Wallオブジェクトで描いた壁の輪郭を天井伏図の基準として使う点は共通だ。

天井高の注釈とROOMオブジェクトとの連携

天井高はテキストで手入力するか、ROOMオブジェクトのパラメータに入力してラベルとして表示させるかを選べる。

  • 手入力テキスト:シンプルで素早い。ただし天井高を変更したときに手動更新が必要
  • ROOMオブジェクトのラベル:部屋の面積・名称・天井高をパラメータで管理できる。変更があっても図面が自動更新される

天井高が均一でない場合(折り上げ天井・下がり天井・梁型)は、エリアを分けて注記するか、断面図との整合を取りながらゾーニングをハッチングで表現する方法がある。

照明器具・換気口・点検口の配置

天井伏図の主要要素を配置するには、シンボルライブラリを活用するのが効率的だ。

照明器具

ダウンライト・ベースライト・ペンダントなど器具種別ごとにシンボルを用意する。点灯回路が複数ある場合はクラスで色分けすると、電気図面との整合が取りやすい。シンボルの回路色はシンボル内で固定せず、クラスカラーで制御するのが定石だ。

換気口・エアコン吹き出し

空調・換気の吹き出し口・吸い込み口も天井伏図に入れる。正方形または長方形の記号が多い。サイズ・風量を属するデータに入れておくと設備担当との連携がスムーズになる。

点検口

450mm角か600mm角が標準的なサイズ。位置の根拠(空調機・配管上部など)を属性データに残しておくと施工時の確認が早くなる。シンボルに「点検口」クラスを付与して表示制御すると、必要な図面だけに出せる。

仕上げ材の記入——ハッチングとタイルの使い分け

天井仕上げ材の表現にはハッチングとタイル(繰り返しパターン)の2種類がある。

  • ハッチング:線で構成されたパターン。石膏ボード・木下地・コンクリートなど素材の種類を示すのに使う。建築図面での標準的な素材表現
  • タイル(テクスチャタイル):プレゼン向けの塗りつぶしパターン。ルーバー天井や格子天井の意匠表現に向く

既存記事「Vectorworksのハッチングとタイル——素材表現を使い分ける」も参照してほしい。天井仕上げは平面図のフローリング表現と同じ手順で設定できる。

失敗談——上から見るか下から見るかで大混乱

筆者が独立して初めて店舗の天井伏図を単独担当したとき、「天井を上から透視して見ている」つもりで照明を配置し始めた。しかし施工業者との打ち合わせで「この図、見上げ方向ですよね?」と言われてから混乱が始まった。

平面図と同じ向きで作業していたため、入口から見て「右手側」と思っていた位置が、見上げると「左手側」になる——この左右逆転に途中で気づき、照明配置を全部確認し直すことになった。結局、その図面プロジェクトでは「見下ろし型」で統一することにしたが、確認を怠ったコストは大きかった。

現在は、天井伏図の図枠タイトルブロックに「見下ろし型(上から透視)」または「見上げ型(下から)」を明記するルールにしている。一行追記するだけで、誤解によるやり直しを防げる。

まとめ

天井伏図はレイヤ設計と「どの向きで見るか」の前提を最初に決めることが、後のトラブルを防ぐ最大のポイントだ。

  • 天井伏図は「見上げ型」か「見下ろし型」かを最初に決めてタイトルに明記する
  • 専用レイヤを作る方式が、大規模案件や複数人作業では管理しやすい
  • ROOMオブジェクトで天井高を管理すると変更時の更新が自動化できる
  • 照明はクラスで回路ごとに色分けすると電気図面との整合が取りやすい
  • 点検口・換気口は属性データに設置根拠を残しておくと施工時に役立つ

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