Vectorworks Tips

Vectorworksのクラスを見直す——命名規則と3つの実務ルールで図面管理が変わる

Vectorworksを使い始めた当初、クラス管理をほぼ放置して設計を進め、後から収拾がつかなくなった経験があります。「とりあえずNone」に図形を入れ続けた結果、プロジェクト中盤で壁・仕上げ・設備の図形が混在して、ビューポートの表示切り替えが思い通りにできなくなる——そういった状況は、Vectorworksをある程度使っている設計者でも珍しくありません。クラスの命名規則と運用ルールは地味なテーマですが、内装設計では仕上げ材・下地・設備系統ごとに情報を管理する場面が多く、この部分の設計の良し悪しが図面の見直しやすさ・施工図への展開スピードに直結します。

クラスとは何か、なぜ内装設計で重要か

VectorworksのクラスはAutoCADのレイヤーに近い概念ですが、「表示・非表示の切り替え」だけでなく、「線種・線幅・色・透明度・面の塗りつぶし」などの属性を一括管理するためのシステムです。図形にクラスを割り当てると、そのクラスの属性設定が図形全体に反映されます。クラス設定を変えれば、割り当てた全図形の見た目が一括で変わります。

内装設計でこれが効いてくるのは、たとえば「施工図提出時は設備線を非表示」「クライアントプレゼン時は寸法線と作業用グリッドを非表示」といった使い方をするときです。1つのモデルから複数の図面バリエーションを生成できるかどうかは、クラス設計の質に依存します。ビューポートごとにクラスの表示をオン・オフする設計ができていれば、同じ変更を複数ファイルに反映する手間がなくなります。

命名規則の基本パターン

実務で機能する命名規則は、「カテゴリ接頭辞 + 部位/用途」の2階層構造が扱いやすいです。接頭辞を統一すると、クラスリストをスクロールしたときに「A-」「ID-」「S-」などで目的のクラスがすぐ見つかります。

内装設計で筆者が実際に使っている分類の例:

  • A-Wall-RC(躯体壁・RC造)
  • A-Wall-LGS(軽鉄間仕切り)
  • ID-Finish-FL(床仕上げ)
  • ID-Finish-WL(壁仕上げ)
  • ID-FF&E(家具・什器)
  • MEP-電気(電気設備)
  • MEP-給排水(給排水設備)
  • DIM-寸法(寸法線)
  • REF-グリッド(参照グリッド・作業用)

命名に迷ったら「この図形は何の情報を表すか」で分類するのが基本です。部屋番号や施工会社名をクラス名に入れるのは後から混乱しやすいため、避けるのが無難です。

現場で使える3つのクラス運用ルール

ルール1:プロジェクト開始前にクラステンプレートを用意する

最初の1週間でクラスを整理しようとするより、プロジェクト開始時にテンプレートファイルからクラスをインポートする方が確実で速い。自分がよく使うクラスセットをVWXファイルに保存しておき、新プロジェクト立ち上げ時に「クラスのインポート」から読み込むだけです。1度作れば次のプロジェクトから使い回せます。住宅案件・店舗案件で分けて2種類用意しておくと、より実態に合ったスタートが切れます。

ルール2:「とりあえずNone」を許可しない

図形をNoneクラスや未整理の汎用クラスに入れたまま「後で整理する」つもりでいると、大半は放置されます。特に外部から受け取ったDXFやDWGデータをインポートした後は、大量の「未分類クラス」が生まれやすい。インポート直後に不要なクラスを削除・統合するルールを自分の中に作るだけで、後半のクラス管理が格段に楽になります。

ルール3:ビューポートとクラス表示の対応表を持つ

「このビューポートではこのクラスを非表示にする」という対応を、テキストメモでも構わないので最初に設計しておきます。プロジェクトが進んでビューポートが増えてくると、「なぜこのビューポートではこのクラスがオフなのか」が分からなくなることがある。意図を言語化しておくことで、修正時の判断が速くなります。

よくある失敗と対処法

クラスを変えても図形の見た目が変わらない

原因のほぼ100%は、図形の属性が「クラス設定を使用」になっていないことです。図形を選択して「属性パレット」を見ると、線色・塗りなどが個別設定になっている場合があります。これを「クラス設定を使用」に変更すれば、クラスの設定が反映されます。AutoCADからの移行者や、作図中に属性を手動変更した図形に多く見られます。

クラス名が長すぎてドロップダウンで探せない

「Interior_Design_Room_Finish_Floor_Material_Tile_Wood」のような長い名称は視認性が落ちます。3〜5単語以内を目安にした短い命名を心がけることで、クラス割り当て作業のストレスが下がります。略語を使う場合は社内・チーム内でルールを統一しておくことが前提です。

まとめ

クラス設計はVectorworksの機能の中でも地味な領域ですが、プロジェクト規模が大きくなるほど最初のルール設計が効いてきます。「テンプレートを1つ作る」「Noneを放置しない」「ビューポートと対応させる」——この3つを意識するだけで、プロジェクト後半の図面管理コストが明らかに変わります。今から自分用のクラステンプレートを1つ作っておけば、次のプロジェクトから即座に使い始めることができます。

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